今日も彼女とけんかしてしまった。
久しぶりのデートで、来週も再来週も会えないので楽しみにしていたのだけど、パンを食べながら歩いていて、歯にパンがつまって、でも人がたくさんいすぎて水が手に入らずいらいらしてしまい、彼女が怒って口をきかないモードになってしまい、ぼくは一人で歩いて帰ってしまった。
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おちこむので映画をみた。
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『はちどり』
2018年。Bora Kim監督作。
あまりによくて、同監督の過去作、最新作を調べたのだけどほとんど作品はなく、この一作はパーソナルな作品なのだろう。
自分が最近ほとんど映像のフェティッシュさを感じることしかできなくなってきているので、きちんとした感想をかけないのだけど、でも映像はあまりにここちよくて、すきだった。
あえて作品のテーマをかくとすると、家父長制のいびつさと、そこにひそやかに対抗する女性たち、ということなのだろうけど、言葉の上のフェミニズムとは全く関係ない、身体感とか手触り、空気をもってあくまでひとりひとりが描かれていて、でも耳のしこりの象徴性とか、声が届かない母親とか、彼女が大学の庭で本を胸に抱えて歩きたかったこととか、つらいときには手の指をみるといいということとか、そのようなひとつひとつのディティール(具体性)が印象に残る。
このような繊細さにぼくはもう帰ってこれないかもしれないけど、わすれることもできないのだ。