今日はひとりで、朝映画をみて、その後電車で東京方面にいった。秋葉原の『サンボ』で牛丼(のお皿)を食べ、東京都美術館マティス展をみた。

昨日ネイルを塗って、一日手をみるたび嬉しくなった。

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『TAR』

2023年。Todd Field監督作。

ケイト・ブランシェットの主演作。みるまで、クラシック主題の映画ということはわかったけど、何についての特徴なのか予告をみてもほとんどわからず、ただimdbのメタスコアが非常にたかかった(9点台)ので気になって観た。

会話シーンが非常に多く、それゆえに情報量も多く、また色んな暗示にも満ちていて、直接的でない描写を当たり前の様に取り入れているなど、全体の演出の質の高さを感じた。

たとえば、彼女の公演に(フォーカスもされず)それとなく映っていたオレンジ色の髪の女性が、自殺した元教え子の髪の色と同じだったり。

結局、主題はキャンセルカルチャーについて、だと思う。その意味でとても現代的で、評論家が嬉々として語っているのはそのためかと思った。しかし、こと映画業界において、こういう行き過ぎたキャンセルカルチャーやポリコレの醜さを真顔で描くような作品が評価されるのは、なんだかすごく嫌だなと思ってしまう。

エンディングで急に下品な感じ(わかりやすすぎる演出)に落ちてしまうのも気になった。

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マティス展。

色と輪郭の対立、という主題を置いて、フォービズムでは解決されなかった対立が、最終的に切り絵において解消されたのだという全体の流れで、ぼくはマティスの切り絵を(すきだけど)そんなに重要な立ち位置にあるととらえられていなかったので、とても勉強になった。

また実際に流れでみて、もっとも印象的だったのはやはり一番最後の切り絵のところ。それまでの絵画や彫刻での試行錯誤が一気に形をとり、作品になっている印象をうけた。また、一枚ごとにアイディアがあふれていて、発見があり、自由でたのしかった。

ぼくも切り絵で何か作りたいと思うけど、ここまでかたちや色について考えつくしたからこそできる表現なのだろうとも感じた。

切り絵について、一枚でかたちをつくっているわけではなく、複数枚の形をかさねあわせることでかたちを作っているのは発見だった。

最後のロザリオ礼拝堂もうつくしく、一度訪れてみたいものだと思った。