彼女について。

ぼくは3ヶ月すこし前にはじめて彼女と出会って、出会ったその日に彼女からアプローチされて、なし崩しに一緒にいることになってしまった。

だれかからあんなふうに最後まで一緒にいたいというようにふるまわれたのは初めてだったし、ぼくはだれにも言わず、彼女にも隠しながら、はじめてのことをたくさんした。

(そしてだれにも言わない限り、ぼくがすきになってないはずの彼女としてしまった色んなことは、なかったことになるとおもった。)

彼女はぼくに「安心」をあたえてくれた。

今では思いだすのは少しむずかしいけど、その時のぼくはある女性に執心していて、ずっと寂しい気持ちが曇っていて、本をよむのも、映画をみるのもむずかしい状況だったのだ。

彼女と、(ほんとはどうしてもすきな女性と経験したかった)はじめてをたくさん経験することで、いろんな執着がときほぐされて、消えていってしまった気がする。

それはよかったことなのかわるかったことなのかわからないけど、今ぼくはとても落ち着いて、本もよめるし映画もみれる。

すきだった女性への気持ちも、落ち着いて、すこし前にすすむことができたと思う。

あのまま寂しさにおぼれてこわれてしまっていたらどうなっていたんだろう。いっそおちついた退屈よりは、切実な寂しさをおぼえていたい、それで壊れるのなら、壊れてしまいたかった。とも思う。

でもあの時彼女と一緒にいることを選んだのは自分で、そのことで救われた部分があったのもほんとうで、そうすることで救われたいとそのとき感じたはずなのだ。すくなくとも、ぼくのカラダは、そう動いた。

後悔はしているけど、後悔することのできる心の平静こそ、彼女がぼくにあたえてくれたものなのだ。